J-FUNK EXPRESS/THIS IS RARE GROOVE!

bamboo_away_team2009-01-21

実に面白いアルバムがあったので紹介。今の状況は分からないからなんとも言えないのですが、今から10年以上前は、CDの売り上げも、レコードの売り上げもあり音楽業界ははウハウハだったのではないでしょうか。また時代的にも70年代のソフトが再販期限を迎え、今まで再発できていなかったアイテムもぞくぞくと再発されていた事もあり、音楽鑑賞を趣味とする方々にとっては黄金期間だった事でしょう(おまけに安かった)。それにもまして渋谷系やらサンプリングやら温故知新、昔のものを引用することに対して、パクリと概念が薄れ、引用という表現を用い、あからさまに罪悪感が薄れた点が今思えば「俺たち狂っていたね」とも思えるのですがいかがでしょうか?*1
まあそういう時代の産物といえば、そうですがDJがサウンドリエーターとして、アルバム製作に関わることも多かったと思いますし、このアルバムもいわゆる企画物というやつで、あからさまに70年代を狙っております。そもそもレア・グルーヴっていうタイトルからして確信犯的というより、手抜き間も感じますが、コンセプトや音作りに関しても面白いアイデアを具現化させて70年代の音と90年代のHIP-HOPが好きな諸君には美味しすぎる仕上がりなのです。
それにしても本題に行くまでが長すぎましたが、演奏はJB'S、アレンジはデビッド・マシューズ、そして参謀に小林径*2となっていまして、やはり視点はDJ的感覚、もしくは90年的な感覚が重視されている事もあり、ドラムをすべてサンプリングでこなしていて・・・とここまで書いて思い出しましたが、音的にはUS3の感じ、もしくはsoulive、なぜかJAZZを感じさせるグルーブなのです。また曲自体でも80年代から活躍するベテランHIP-HOPグループ、ジャングルブラザースの曲をサンプリングしたり、つまりはサンプリングのサンプリングという荒業があったり、エロ名曲”チャカチャス””ジャングル・フィーバー”を思いっきり引用してたりと、曲自体も楽しめます。
ただ、今の聴くとやはりこの時代だからこそできた芸当だったのかなとも思えますが。手間を掛けすぎているようにも思えるし、重箱の隅をつつくようなマニア向け志向が強く、ダイレクトに伝わりにくい気もするのが印象です。ただ僕的にはその無駄さ(あえて全部サンプリングで良いじゃん!!って言ってもいいんですが)が好きで、小林径が掲げる70年代と90年代の融合という、フラットに見る感覚を実現させようとした作業は十二分に評価されるべき事と思います。
そういえばライナーもぎっしり思いが詰まっているし、僕はそういういさぎ悪さが大好きです。
*1
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THIS IS RARE GR

THIS IS RARE GR

*1:例えばで恐縮ですが、僕は当時COMMON(HIP-HOP)は好きで良く聴いていて、彼の引用するサンプリングに舌鼓を打っていたもんです。いわゆる分かりやすく気持ち良いサンプリングなのです。その彼が、今もなおアルバムを出し続け、かつての色は何処かへ、バキバキのエレクトロ観(これも流行なのか??)を見せてくれるあたりに、男気を感じさせられます。いやとことん行っちゃって欲しいです。

*2:80年代から活躍するDJ、須永辰緒小西康陽橋本徹東京アンダーグラウンドをキーワードにすると商業的、一般的認知度は劣るかもしれませんね、ただこのアルバムでは間違いなく企画ありきの話ですし、彼の役割は大きかったと思います、ただ絵に描いた餅にならないために、実際に音作りを行ったエンジニアもすごいですが